「平均を出しただけなのに、なんだか実感と合わない」
そう感じたことはありませんか。テストの平均点、月ごとの売上平均、アンケートの評価平均。AVERAGE関数を使えば一瞬で計算できるはずなのに、出てきた数字がなんとなく現場の感覚とズレている。そんな経験、私にもありました。【関数の使い方シリーズ①】名前は知ってるのに使えない…関数、なんとなくで選んでいませんか?でも少し触れましたが、AVERAGE関数は「未入力のセル」と「0が入力されているセル」を、まったく別のものとして扱います。この違いに気づかないまま使っていると、平均値が実態より低く(あるいは高く)出てしまうことがあります。今回はAVERAGE関数を中心に、平均・中央値まわりの関数を一通り整理していきます。

1. AVERAGE関数の基本
1-1. AVERAGE関数の基本的な使い方
AVERAGE関数は、セル範囲内の数値の平均値を求める関数です。
- セル範囲を選択します。平均を求めたい数値が含まれているセル範囲をドラッグして選択します。
- 関数バーに「=AVERAGE(」と入力します。
- 選択したセル範囲を入力します。たとえば、セル範囲がA1からA10までなら「A1:A10」と入力します。
- 閉じ括弧「)」を入力して関数を完了します。
- Enterキーを押すと、平均値が計算されます。
=AVERAGE(A1:A10)
1-2. 平均値の小数点以下を表示する方法
AVERAGE関数自体は正確な小数値を計算していますが、セルの表示形式によっては小数点以下が省略されて見えることがあります。表示上の桁数を調整したい場合は、セルの書式設定から小数点以下の表示桁数を指定します。数式自体を変えなくても、見た目の桁数はコントロールできる、という点を覚えておくと安心です。
1-3. 「空白」と「0」を混同すると平均がズレる
ここが今回、一番お伝えしたいポイントです。AVERAGE関数は、空白セルを完全に無視して計算します。一方で、セルに「0」が入力されている場合は、その0もしっかり平均の計算対象に含めます。
たとえば、10人分のテストの点数を集計していて、まだ採点が終わっていない3人分のセルが空白になっているとします。この状態でAVERAGEを使えば、残り7人分だけの平均が正しく計算されます。ところが、「未提出だから0点」という意味でその3人分に0を入力してしまうと、平均点は一気に下がってしまいます。どちらも「データが足りていない」という状況は同じなのに、セルの中身が「空白」か「0」かによって、平均の意味がまったく変わってしまうのです。
この違いは、集計を引き継いだ人や、後からファイルを見返した人には非常にわかりにくいポイントです。「未入力」と「0」は、見た目が似ていても意味が違う、ということを、表を作る段階から意識しておくことをおすすめします。
2. 他の平均を求める関数
2-1. AVERAGEA関数:文字列を無視して平均を求める
AVERAGEA関数は、数値と文字列が混在しているセル範囲でも平均を求めることができる関数です。文字列は基本的に無視され、数値だけが計算の対象になります。ただし、TRUE・FALSEといった論理値は1や0として計算に含まれるため、AVERAGE関数とは挙動が異なる点に注意が必要です。
2-2. AVERAGEIF関数:条件に合う数値だけで平均を求める
AVERAGEIF関数は、特定の条件に合致する数値だけを対象に平均を求める関数です。たとえば、特定の部門の売上だけで平均を計算したい場合に使います。
=AVERAGEIF(A1:A10, "東京", B1:B10)
A1からA10の範囲で「東京」となっている行の、B列の数値だけを平均します。この関数もSUMIFやCOUNTIFと同じ構造を持っているため、条件を見る列と平均する列がズレてしまうと、結果が正しく見えても実は誤った値を拾っている、ということが起こり得ます。列の意味が途中で変わることによる集計事故については、こちらの記事でくわしく取り上げていますので、AVERAGEIFを使う際にも同じ注意が当てはまります。

2-3. AVERAGEIFS関数:複数の条件で平均を求める
AVERAGEIFS関数は、複数の条件を指定して平均を求める関数です。たとえば、特定の期間と特定の商品カテゴリに該当する売上だけで平均を計算したい、というときに使います。条件が増えるほど、それぞれの条件がどの列を見ているのかが分かりにくくなるため、数式を作る際は一つずつ条件を確認しながら組み立てることをおすすめします。
2-4. TRIMMEAN関数:極端な値を除いて平均を求める
TRIMMEAN関数は、極端に大きい値・小さい値(外れ値)を一定割合だけ除外してから平均を求める関数です。一部の突出したデータに平均が引っ張られてしまうのを防ぎたいときに使います。
3. 中央値を求めるMEDIAN関数
3-1. 平均と中央値の違い
平均値と中央値は、似ているようで別の概念です。平均は数値の合計を個数で割ったもの、中央値はデータを昇順に並べたときにちょうど中央に位置する値です。極端に大きい・小さい数値が含まれるデータでは、平均値がその外れ値に引っ張られてしまうことがありますが、中央値は影響を受けにくいという特徴があります。
3-2. MEDIAN関数の使い方
- セル範囲を選択します。中央値を求めたい数値が含まれているセル範囲をドラッグして選択します。
- 関数バーに「=MEDIAN(」と入力します。
- 選択したセル範囲を入力します。たとえば、セル範囲がB1からB10までなら「MEDIAN(B1:B10)」と入力します。
- 閉じ括弧「)」を入力して関数を完了します。
- Enterキーを押すと、中央値が計算されます。
平均値だけを見て判断すると実態を見誤ることがあるため、必要に応じてMEDIANも併用すると、データの分布をより正確に把握できます。
4. 関数を使わない平均値の出し方
4-1. セル範囲をドラッグするだけで平均値を確認する
セル範囲をドラッグして選択すると、Excelのステータスバー(画面下部)に、選択範囲の平均値が自動的に表示されます。ちょっとした確認であれば、わざわざ関数を入力しなくても、この方法で素早く平均値を把握できます。
4-2. オートSUMを応用して平均値を出す方法
【関数の使い方シリーズ②】SUM関数、一番簡単”だと思って油断していませんか?には、合計だけでなく平均・数値の個数・最大値・最小値をワンクリックで挿入できるメニューも用意されています。SUM以外の集計をしたいときにも、意外と使える機能です。

AVERAGE関数は、書き方自体はとてもシンプルな関数です。ただ、「空白」と「0」の違い、条件付き平均での列のズレ、外れ値の影響など、数字の裏側にある性質を理解しているかどうかで、集計結果への信頼度は大きく変わります。実務でよくある間違いも、あわせて押さえておきましょう。
5. AVERAGE関数を使うときによくある間違い
5-1. 範囲がすべて空白だと「#DIV/0!」エラーになる
AVERAGE関数は「合計 ÷ 個数」で平均を計算しているため、指定した範囲に数値が一つも入っていないと、0で割ることになり「#DIV/0!」というエラーが表示されます。データがまだ入力されていない段階でテンプレートを配布すると、このエラーが目立ってしまい、受け取った側が不安に感じることもあります。IFERROR関数と組み合わせて、データが揃うまでは空欄やハイフンを表示させておく、といった対応をしておくと親切です。
5-2. 四捨五入した表示だけを見て計算し直すとズレる
AVERAGE関数の結果をROUND関数で四捨五入して表示している場合、その表示された数値をもとに別の計算をすると、実際の計算結果とわずかにズレることがあります。これはAVERAGE関数特有の問題というより、四捨五入した「見た目の数字」と、セルの中に実際に保存されている「元の数字」が違うために起こる現象です。複数の平均値を足し合わせるような資料を作るときは、どの段階で四捨五入しているかを意識しておくと、細かい数字のズレに悩まされずに済みます。
5-3. 文字列が混ざっていることに気づかず対象範囲が狭くなる
AVERAGE関数は、範囲内に文字列が混ざっていても、その文字列を無視してエラーを出さずに計算を続けます。一見、正しく計算できているように見えるのですが、本来含めたいはずのデータが「文字列扱い」になっていて、実は計算対象から漏れている、ということもあります。合計人数と、AVERAGEが実際に計算に使ったセルの個数が一致しているかを、COUNT関数などで確認しておくと安心です。
まとめ
平均値は、資料や報告書の中でもよく目にする数字だからこそ、その意味を正しく理解しておきたいところです。関数の使い方シリーズでは、他の関数についても実務目線で整理していますので、あわせてご覧ください。


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