「SUMもIFもVLOOKUPも、名前は知ってる。でも実務で使うと、なぜか思った通りの結果にならない」
そんな経験、ありませんか?
私自身、一般事務として働き始めたころ、関数は”暗記するもの”だと思っていました。SUMは合計、IFは条件分岐。参考書通りに覚えて、いざ現場のExcelファイルで使ってみると、集計が合わない、エラーが出る、なぜか一部だけ計算されない…そんなことの連続でした。
あとから気づいたのですが、関数がうまく使えない原因の多くは「関数の書き方を間違えている」ことよりも、「その関数がそもそも何のために存在するのか」を理解しないまま使っていたことにありました。
今回は「関数の使い方シリーズ」の第1回として、実務でまず押さえておきたい12個の関数を、単なる一覧ではなく「どういう場面で、なぜその関数を選ぶのか」という視点で整理してみます。
1. 合計・平均・中央値 ─ 「集計の土台」になる関数
SUM関数:合計値を求める
指定した範囲のセルの合計を計算する、もっとも基本的な関数です。
=SUM(A1:A10)
A1からA10までの値を足し合わせます。シンプルですが、初心者がよく引っかかるのが「範囲の中に文字列や空白が混ざっていても、そのまま計算してくれる」という点です。一見便利なのですが、これは裏を返せば「本来数値であるべきセルに文字列が紛れ込んでいても、エラーにならず気づきにくい」ということでもあります。
SUM関数についてさらにくわしく知りたい方はこちら(シリーズ②)

AVERAGE関数:平均値を算出する
指定範囲のセルの平均値を計算します。
=AVERAGE(B1:B5)
AVERAGEは「数値が入っているセルの平均」を計算するため、空白セルは無視されますが、0が入力されているセルは平均の対象に含まれます。「未入力」と「0」を同じ感覚で扱ってしまうと、平均値がずれる原因になるので注意が必要です。
AVERAGE関数についてさらにくわしく知りたい方はこちら(シリーズ③)

MEDIAN関数:中央値を求める
指定範囲の中央に位置する値を求めます。
=MEDIAN(C1:C8)
平均値だけを見ていると、極端に大きい・小さい数値(外れ値)に引っ張られて実態と合わないことがあります。そんなときに「実際の感覚に近い代表値」として使えるのがMEDIANです。
2. 条件付き集計 ─ 「もしも」の感覚で使う関数
IF関数:条件に応じて値を返す
指定した条件によって、返す値を切り替えます。
=IF(D1>10, "合格", "不合格")
D1が10より大きければ「合格」、そうでなければ「不合格」と表示します。IFは単体で使うより、他の関数と組み合わせたときに真価を発揮しますが、まず「条件が真か偽か」で結果が変わる、という感覚をつかんでおくことが大切です。
COUNTIF関数:条件に合ったセルの個数を数える
指定した条件に一致するセルの数を数えます。
=COUNTIF(E1:E20, "合格")
E1からE20の範囲で「合格」という文字が入っているセルの数を数えます。COUNTIFは「文字列として完全一致しているか」を厳密に見るため、見た目は同じでも半角・全角の違いや余分な空白があると、意図した通りにカウントされないことがあります。
SUMIF関数:条件に合った数値の合計を求める
指定した条件に合致するセルに対応する数値の合計を計算します。
=SUMIF(F1:F10, "合格", G1:G10)
F1からF10の範囲で「合格」となっている行の、G列の数値を合計します。ここで初心者がつまずきやすいのが「条件を見る列」と「合計する列」がズレてしまうケースです。列の意味そのものが表の途中で変わってしまっていると、SUMIFやCOUNTIFの結果が正しく見えても、実は誤った値を拾っていることがあります。このあたりの列の意味が変わることによる集計事故については、こちらの記事で詳しく取り上げていますので、心当たりのある方はあわせて読んでみてください。

3. 最大値・最小値・順位を求める関数
MAX関数:最大値を見つける
指定範囲の中の最大値を求めます。
=MAX(G1:G20)
MIN関数:最小値を見つける
指定範囲の中の最小値を求めます。
=MIN(H1:H15)
LARGE関数:大きい方からn番目の値を求める
指定範囲の中で、大きい方から数えてn番目の値を求めます。
=LARGE(I1:I10, 2)
I1からI10の中で、2番目に大きい値を返します。
SMALL関数:小さい方からn番目の値を求める
指定範囲の中で、小さい方から数えてn番目の値を求めます。
=SMALL(J1:J12, 3)
MAX・MINは「一番」を求める関数、LARGE・SMALLは「n番目」を求める関数、と役割を分けて覚えておくと、必要な場面で迷わず選べるようになります。
4. 検索・整形の関数
VLOOKUP関数:条件に対応する値を検索する
指定した値に対応するデータを、別の範囲から検索して取得します。
=VLOOKUP("商品コード", K1:L100, 2, FALSE)
K1からL100の範囲から「商品コード」に対応する値を探し、2列目の値を返します。VLOOKUPは実務で非常によく使われる関数ですが、参照先の表に「同じ意味の列が複数存在する」場合、意図しない列を拾ってしまうことがあります。たとえば「名前」と「名前2」のような重複した列が参照範囲に含まれていると、VLOOKUPは常に一番左側で見つかった列を優先するため、更新されているはずのデータが反映されないといった事故につながります。この重複列の問題についてはのこちら記事でくわしく解説していますので、VLOOKUPでの検索結果に違和感がある方は確認してみてください。

VLOOKUPについてさらにくわしく知りたい方はこちら(シリーズ④)

ROUND関数:四捨五入する
指定した数値を、指定した桁数で四捨五入します。
=ROUND(M1, 2)
M1の値を小数点以下2桁に四捨五入します。表示上は四捨五入されているように見えても、セルの実際の値は四捨五入前の数値のままになっている「表示形式の変更」との違いを理解しておくと、後の集計でのズレを防げます。
5. 関数は「単体」より「組み合わせ」で真価を発揮する
ここまで紹介した関数は、それぞれ単体でも役に立ちますが、実務では複数を組み合わせて使う場面のほうが圧倒的に多いです。
たとえば「合格の人だけの平均点を出したい」という場合、AVERAGE単体では条件を絞り込めません。こういうときはAVERAGEIFという関数を使うか、IFとAVERAGEを組み合わせる形になります。同じように、「上位3件だけを合計したい」という場合は、LARGEで3番目までの値を特定してからSUMIFやSUMで合計する、といった流れになります。
関数を覚える段階では「1つずつ、単独の意味」で理解しておくことが大切ですが、実務で使いこなすためには「この関数とこの関数を組み合わせると、こういうことができる」という発想に切り替えていく必要があります。今回は基礎固めの回として、まずは単体での役割をしっかり押さえておきましょう。
まとめ ─ 関数以前に「表の作り方」が原因のことも多い
ここまで12個の関数を、用途ごとに整理してご紹介しました。
ただ、実務でExcelを使っていると、関数の書き方自体は合っているのに、なぜか結果がおかしい、ということがよくあります。そういうときの原因は、関数そのものではなく「表の作り方」にあることが少なくありません。
たとえば、1つのセルに複数の情報を詰め込んでいたり、1行が1件のデータになっていなかったりすると、SUMやCOUNTIFがどれだけ正しく書かれていても、正確な集計はできません。このあたりの表の作り方の基本については、こちらの記事でくわしく取り上げていますので、関数を使っても集計が合わないと感じている方は、あわせて確認してみてください。

関数は、正しく使えば実務の強い味方になってくれます。逆に言えば、意味を理解せずに使い続けると、気づかないうちに集計事故の火種を抱え続けることにもなりかねません。次回は、今回取り上げた関数の中から、特に組み合わせて使うと便利なパターンをいくつかご紹介する予定です。少しずつで構いませんので、一緒に関数と向き合っていきましょう。

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